何もできない自分はいつも迷惑ばかりかける。
こんな自分はダメだから変わらなくてはいけない。
みんなと同じようにできない自分は消えてしまったらいい。
今回のテーマは、「自己否定」についてです。
誰に否定されるより自分から否定されることが何よりも辛いことです。
他人との付き合いはコントロールできますが、
自分とは一番身近で四六時中付き合っていなければならない存在だからです。
逆に、自己否定だけしなくなれば、この世界はとても楽に生きることができます。
何かの出来事や他人という外側の影響によって、私たちの感情は刺激され、楽しくも苦しくもなります。
ただ、外側の刺激がダイレクトに自分の感情を決めるのではなく、
外側の刺激と自分の感情の間に、物事の捉え方というフィルターがあるのです。
このフィルターに「自己否定」という色がかかっていると、
どんな外側の刺激も自己否定という色に染めて自分をダメだと感じ苦しく感じます。
無色透明な出来事に色をつけているのは、このフィルターだと言うことです。
だから、このフィルターから「自己否定」を取り除いたら、
とても生きやすくものすごい自由が広がっていたことに気づくのです。
ぜひ、本文を読みすすめてもらいながら、
自分のフィルターから「自己否定」を減らしていってください。
それだけで、悩みことや苦しいことが極端に少なくなります。
1.自己否定してもいい
とは、言うものの「自己否定」を悪者にしないでくださいね。
「自己否定はしてはいけない」「自己否定をやめられない自分はダメだ」と考えると、
「自己否定する自分を否定する」みたいな、終わりがない状況になります。
「自己否定する自分もそれでいい」としてあげたら、
やっとそこで、否定の連鎖が終わります。
別に自己否定することは悪いことでも何でもないのです。
ただ、自己否定していると自分が辛いだけです。
辛く苦しい思いをするだけなので、その辛く苦しい気持ちでいればいいだけの話です。
自己否定は悪くはない。
自分を否定したくなる気持ちも自分の気持ちであることに間違いはないので、
そんな気持ちも大事に感じてもらえたらと思います。
2.まずは頭で知っておく
それでは、ここから自己否定を終わらせる方法を紹介していきます。
今から話すことを最終的に腑に落として当たり前の状態にしていくと、
自分を否定する感覚を忘れ、自分を責めて苦しい気持ちを感じることはなくなります。
しかし、最初から腑に落とすところを目指さなくて大丈夫です。
最初は、頭で知っておくところから初めてみてください。
そうは思えないかもしれませんが、「そういうことにしておく」ということです。
今、そう思えるかは大事なことではなく、
信じられなくても「そういうことにしておく」のです。
すると、いつの間にかそれを信じている自分がいます。
2-1.望む自分にならなくていい
まず、最初に知っておいて欲しいのが、「望む自分にならなくていい」ということです。
- もう少し能力があったら
- この性格が少しでも違ったら
- もうちょっと役に立てる自分だったら
そんなことを考える自分がいるかもしれませんが、望む理想の自分になる必要なんてありません。
その望む自分になることによって得られるものは、
実は要らないものであったり、実は望む自分になる方法では得られるものではない幻想であったりします。
能力があったらもっと評価されると感じるのであれば、そんな評価はいらないし、
誰かの役に立てたら自分を認められると感じているのであれば、
自分を認めるのに誰かの役に立つことが必要だと感じていることが勘違いとなります。
自分を変えた上で得られる何かは必要ないし、
自分を変えることで自信を持てたり自分を認められたりということはありません。
自分でいいことに気づいたら、そこにあるのが自信だし自分を認められているということです。
だから、まず「望む自分にならなくていい」ということを頭で分かっておいてください。
また、「今のままの自分はダメだ」「こうならなくてはダメだ」というのは、
多くは親の影響で、今に至るまでに見聞きした情報によって作られてきました。
要は、初めて見た鳥を親鳥だと感じるように、
初めて見聞きしたルールを守らなければならないルールだと感じて生きてきたということです。
そして、そのルールをインストールしてからは、そのルールを強化していきます。
ルール違反をしたら怒られたり、怒られている人を見たり、
ルールを守ることで褒められたりを繰り返す中で、
「自分はこうあるべき」「こうあらねばならない」を強く確信してきました。
ただ、それは現実を見たいように見てきただけで、そのルールは絶対的なルールではありません。
自分が従っているルールに例外的な出来事はいくつも起きていたはずです。
何が言いたいかと言うと、今思っている当たり前や「こうしなければ」というルールは、
あなたとごく身近にいる人たちだけの当たり前やルールであり、
他人にとってそんなものはどうでもいいものであるというこということです。
いくらあなたが能力をあげようとしても、
優しい性格になろうとしても誰かの役に立とうと頑張ろうと、
他人にとってはそんなことどうでもいいし、そんなところではあなたのことを見ていないということです。
もっと言うと、そんなところで自分を見ている人がいるのであれば、
そんな人とは距離を取ったらいいです。
能力があるから、優しくしてくれるから、役に立つから付き合うのであれば、
それは友達でもなんでもありませんからね。
自分が真剣に信じている「こうならなければならない」というルールは、
自分の極めて偏ったルールであり、くだらないものなのだということを覚えておいてくださいね。
2-2.自分が否定しているとみんな自分を否定しているように感じる
さて、次に知っておいて欲しいことは、
「自分が自分のことを否定しているとみんな自分のことを否定しているように感じる」ということです。
これを心理学の言葉で投影と言います。
自分がそうだからきっと相手もそうなのだろうと無意識に判断し、相手をそういう目で見るのです。
つまり、相手に否定されるから自分の欠点は何とかしなければならないということではなく、
自分が自分の一部を欠点だと捉え、否定しているから相手も否定しているように感じるし、
仮に相手が否定してきたとしても、相手の否定が真っ当だと感じその言葉を聴き続けているということです。
表現の角度を変えると自分を否定しているからこそ、
相手からも否定されたいと潜在的に感じているということです。
自分は否定されるべきなのに、否定されないと違和感を抱くのです。
だから、色々な言葉を自分を否定しているように解釈するし、
自分を否定するような人とあえて一緒にいて、自分が否定されることである種の安心を感じています。
逆に、自己否定をやめるとどうなるかというと、相手は自分のことを否定していなかったことに気づきます。
それでも時々は自分を否定する人も現れるのですが、
そんな言葉に耳を貸さなくなるし、自分の意思で距離を取ることができるのです。
まずは、「自分が自分のことを否定しているとみんな自分のことを否定しているように感じる」ということだけ覚えておいてください。
そして、逆に、自分が自己否定をやめたら誰も自分のことを責めていないということです。
ぜひ、「そういうものなのかな」「そういうことにしておくか」と頭で理解しておいてくださいね。
2-3.自己否定は自分にとって一番かわいそうなことをしている
最後に知っておいてほしいことは、
自己否定は自分にとって一番かわいそうなことをしているという事実です。
過去に、親や親戚、身近な人に否定されて苦しい思いをしたかもしれません。
その辛さはとても大きなもので、とても傷ついたと思います。
その時にそんな自分ではいけないと自己否定が始まりました。
そして、時が経て現在、今自分を否定しひどい言葉をかけているのは自分自身です。
過去にされて辛かったことを、親に代わって自分が自分にしているのです。
親に代わって自分が自分の中にいる小さな子どもをいじめているということです。
冒頭でも書きましたが、自分とは切っても切れない関係なので、
四六時中、いつでも自分を責めて小さな自分をいじめています。
それは、小さな自分にとって一番かわいそうなことをしているのです。
昔傷ついた辛さを知っているにもかかわらずです。
一体、自分が何をしたっていうのか。
自分の性格としてただ生まれ、できることとできないことがあって、
今に至る環境であらゆるものを学んできた。
そうして作られた自分の何がダメなのでしょうか?
今に至る全てに影響を受けて、今、ここに「自分」として存在するのだから、
今ここにいるこの自分で一体何がいけないのでしょうか?
子どもの自分を過去の親と一緒になっていじめることがあなたの仕事ではない。
相手が誰であっても、子どもの自分を守っていくことがあなたの唯一の仕事です。
自分を責めることは辛いことですが、とても楽なことです。
自分はダメだと責めていたら、誰を敵に回し戦う必要はない。
ただ、一番大事な自分を責めていじめて犠牲にしている。
反旗を翻して、自分を守ってみてください。
この世の中で唯一やるべきことがあるのなら、自分の中にいる小さな自分を守ることだと思っています。
自己否定とはそれを放棄しているということです。
自分の仕事を放棄して自分を責めることに逃げているということです。
小さな自分にかわいそうなことをしているということです。
ぜひ、小さな自分にかわいそうなことをしてきたのだということを知っていてもらえたらと思います。
3.自己否定を終わらせる方法
それでは、ここからそんな自己否定を終わらせていきます。
3-1.自分を許すと決める
ここまでの説明で「自分」に対する捉え方は少し変わったでしょうか?
自分に何が悪いことがあるわけではなく、親などの身近な人のルールを採用しながら、
自分の唯一の仕事である「自分を守る」ことをしてこなかったわけです。
それが悪いということを言いたいわけではなく、
今の「自分」に何ら悪いことはないということを言いたいです。
だから、その悪くも何でもない自分を許してあげてください。
できないこともあるし、冷たいところもあるし、役に立たないこともある。
しかし、それでいい。
それでも自分だけは嫌わない。
という風に、自分を許すと決めてみてください。
許すもなにも何も悪いところはないので、許すという発想自体に私は少し違和感はありますが、
今まではそんな自分はダメだと当たり前に思ってきたと思うので、
もう、そんな自分でもいいと許すということです。
これは誰に許してもらう必要はなく、自分で許すと「決める」だけです。
自分を責めることも自分で決めてきました。
私たちはすべてのことを自分で決めています。
それと同じように自分のことを許そうと決めるだけで、自己否定は終わっていきます。
3-2.「自分」を守る行動をする
自己否定を終わらせる二つ目の方法は、「自分を守る行動をする」です。
具体的には、
- 嫌なことを言われたら、それ言われるの嫌だからもう言わないでという
- 雑な扱いをされたら怒る
- 嫌な人や環境からは逃げる
など、「自分」を嫌な気持ちにさせるものから自分を守っていきます。
それは、相手に嫌だと伝えることだったり、怒ることだったり、相手から距離を取ることだったりします。
自分にそんな嫌な言葉や態度を味わわせなくていいのです。
自分は自分でいいので、どんな自分を否定する言葉も的外れだということです。
それなのに、自分を否定する言葉や気分を悪くする言葉に自分をさらし続けなくていい。
ぜひ、自分をその相手や環境から守る行動をしてみてください。
自分を守ることによって、「自分を守っていいのだ」「自分を大事にしていいのだ」という気持ちが湧いてきます。
すると、自己否定は何でしていたんだっけ?
今まで自分にとても悪いことをしていたと感じるようになります。
この「自分を許す」と「自分を守る行動」をやってもらえたら、
簡単に自己否定から抜けることができるし、自分で良かったのだということが腑に落ちます。
しかし、これが中々勇気がいることです。
勇気は頑張って出して欲しいのですが、
ただ、先程紹介した「知っておいて欲しいこと」を知っているだけで、
だいぶ、自分への捉え方は変っていきます。
何も自分が悪いわけじゃなく、
自分を守る勇気がないだけで自己否定をしているだけなのです。
そんな勇気が出ない自分を責めることなく、
今勇気が出ないだけなんだなと俯瞰して捉えてみてください。
自分は悪くないし、そのままでいい。
ただ、今は勇気が出ないだけ。
楽に生きるためにいつか勇気を出せるといいですね、というだけの話なのです。
4.まとめ
さて、最後は厳しい言葉になったかもしれませんが、今回のテーマはいかがだったでしょうか?
最後の勇気が出ないというところも含めて自分には一切悪いことはなく、
自己否定も見当違いなんだということをまず頭で知ってみてください。
そして、それを腑に落としていく作業である、
自分を許す決意と自分を守る行動を勇気を出してやってみてください。
自分の中にいる子どもの自分だけ大事にできたら、
この世界はとても穏やかでとても優しい世界です。
自分の持っているものも環境も関係なく、
ただただ子どもの自分を大事にするのかしないのか。
ただ、それだけの話なのですよね。
自己否定も気が済むまでしたらいいのですが、
ぜひ、自分を許して子どもの自分を大事にすることも体験してもらえたらと思います。
人生が一瞬にして変わります。
「自分が嫌い」自分を嫌いになる12の理由と対応策に
自分を嫌うことから抜け出す方法を書いているので、参考にしてみてください。