苦しさを生む完璧主義の辞め方

  • 2015年8月10日
  • 2020年5月17日
  • 自信
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何で自分はいつもちゃんとできないのかな。
常にやることと時間に追われて忙しい。
手を抜くことは自分のポリシーに反する、でもとても疲れてる。

あなたがやることに追われて大変なのも、自分はちゃんとしていないと自分を責めるのも、
「完璧主義」が原因かもしれません。

完璧に物ごとをこなそう、完璧に仕上げようと思うと、
「やらなければ」という心理的負荷が増え、不完全な部分が許せなくなっていきます。
それが大変さや不完全な自分への責めにつながります。

ですので、「完璧主義」という自分だけのルールを解除してみてください。
完璧にしようという気持ちが減るだけでこの世界はとても生きやすく自由になっていきます。

と言われても、「じゃあ、今から完璧主義をやめよう」と納得できないのではないでしょうか?
それは、完璧主義をやめたくないと「無意識に」感じているからです。

実は私たちが無意識に感じていることを何とかすることはできません。
「無意識」というのは「自動的」ということだからです。
しかし、「なぜ完璧主義をやめたくないのか」をはっきり理解することで、
「無意識」が「意識上」に現れ、「自動」を「手動」に変えることができます。

今回の記事は、その無意識を意識上に引っ張り出し、完璧主義を手放す肝の話をします。
ぜひ、完璧でないことを許し、この世界を自由に気楽に生きてもらえたらと思います。

1.なぜ完璧主義が苦しいのか

最初に、なぜ完璧主義が苦しいのかについて、もう少し説明します。

そもそも悩みや苦しさというのは、「こうするべき」という自分に課したルールから生まれます。
仕事ができるべき、家事も育児もちゃんとやるべき、人付き合いは良好であるべきなどのルールが、
自分を縛り付けることになり、そのルールから逸脱する自分を責め立てます。

よりよく生きるために学んできたルールがいつの間にか自分を苦しくしているのです。

そして、完璧主義とはこの自分ルールがとても多いということです。
あれもこれもと手を伸ばし、ミスがないように気を遣い、完璧な自分であるように自分を見張っているのです。
だから、完璧主義をやめ、自分ルールを捨てていくことでどんどん生きることが楽になっていきます。

今、大変さや疲れを感じていなければ、何も変える必要はありませんが、
もし、苦しさや辛さを感じているのであれば、完璧という鎧を脱ぎ捨ててみてください。

2.完璧主義でいる理由

次に、なぜあなたが完璧を目指しているのかを明確にしていきます。

「完璧でないとどうなりそうで怖いか?」という質問の答えを考えてみてください。
ここでは、対外的なものと対内的なものに分けて説明していきます。

2-1.完璧主義でいる対外的な理由

完璧でないとどんな怖いことが起こりそうでしょうか?

  • 周りの人に認めてもらえない
  • 周りからバカにされる
  • 人から愛想を尽かされ、人が離れていく

その怖さを回避する為に、完璧を目指しているということです。
周りから認めてもらえるように、バカにされないように、人に愛想尽かされないように、
頑張って完全な仕事・家事をしようとし、完全な人になろうとしています。

言葉を変えると、世界を厳しいものだと決め付けているのかもしれません。
よりよい自分ではないと世界は受け入れてくれないと感じているということです。

2-2.完璧主義でいる対内的な理由

完璧でないと自分の内側でどんな嫌なことが起こりそうですか?

  • ダメな人間だと自分を責める
  • ちゃんとしていない自分を自覚して傷つく
  • 劣等感を抱いて落ち込む

これも、その嫌な感情や苦しさを感じないために、完璧になろうとしています。
完璧になれば、自分を責めることはなくなり、傷つかなくても済み、劣等感も抱かないと思っているのです。
だから、上へ上へ、完璧な方へ完璧な方へと進もうとしています。

3.完璧主義を手放す方法

では、いよいよ完璧主義を手放していきます。

3-1.完璧主義でいる対外的な理由へのアプローチ

対外的な理由への二つのアプローチを紹介します。

①完璧主義でないと起こりそうな怖い事は勘違いだと知る

「完璧でないと周りから認めてもらえない」や「完璧な人でないと人が離れていく」という思いは、実は勘違いであり、あなたの思い込みです。

「人は長所で尊敬され、短所で愛される」
短所を無くして完璧になるのではなく、不完全なところや、ミス・漏れが愛されていくのです。

完璧でないと認めてもらえないという思い込みであり、暗示です。
「○○だと××になる」という構文は暗示としての効果があります。

前後の因果関係がなくても、自分をその暗示で縛り、現実を色眼鏡で見ているということです。

自分や人が認められないとき、その人の欠点や粗を探して、
やっぱり完璧でないと認められないのだという暗示に即したものの見方で、現実を眺めます。
そして、その暗示はやっぱり正しいとどんどん思い込んでいきます。

しかし、それはただの暗示であり、ただの勘違いです。

暗示を解く方法はその逆を疑ってみるということです。

  • 人にあまり気を使わないのに可愛がられている人
  • できないことを周りから助けてもらっている人
  • ちょっと抜けていて愛される人

そんな人があなたの周りにもいませんか?
ぜひ、「完璧にやらなくても認めらるかも」「完璧な性格じゃなくても可愛がられるかも」「抜けているから愛されるかも」と疑ってみてください。

すると、どんどん今までの法則が勘違いだったと気づいていきます。

また、「世界はそんなに厳しくないのかも」も疑ってみてください。
あなたが思っているほど、世界は厳しくありません。
完璧でなければ何とかならないことはこの世にはありません。

世界はもっと優しいことを疑ってみてください。
人は優しいのかもしれないと疑ってみてください。

②実際に完璧でないことをやってみる

そして、実際に、完璧でない行動や振る舞いをしてみてください。

今まで仕事で完璧を目指してきたのであれば、少し手を抜いてみる。
家事や育児で全てやろうとしていたのであれば、掃除をサボってみる、子どもをほっておく。
自分の性格を完璧にしようと思ってきたのであれば、ありのままの自分を出してみる。

そう行動してみることで、「完璧になんてする必要なかったんだ」ということがわかります。

とても勇気がいることだと思いますが、その効果は絶大です。
一瞬にすべてのことが変わります。

そして、その行動をする上、起こりそうな怖いことを「先に」受け入れてみてください。

  • 認められなくてもいい
  • バカにされなくてもいい
  • 人が離れていってもいい

と、怖いことを覚悟して、飛び込んでみてください。
「何で今まで完璧を目指してきたんだろう」という疑問とともに、完璧主義を手放すことができます。

3-2.完璧主義でいる対内的な理由へのアプローチ

ダメなところを見つけて自分を責め、傷つき、劣等感を抱くというのは、
「そんな自分ではダメだ」と自分を裁き、否定して、責めているということです。
辛い気持ちは自分責めから発生しているということです。

逆に言うと、そんな自分を責めなければいいということです。
では、どうやったら、不完全でだらしないダメな自分への叱責を辞めることができるのでしょうか?

それは、「そんな自分でもいい」と自分を「許す」ということです。
「完全でない自分」「性格もイマイチな自分」「抜けている自分」を認め、
その上で、「それでもいい」と自分を許してみてください。

すると、「できないこと」と「自己否定・自責」が分離されます。
「ダメな自分」は否定するものだと思っていたかもしれませんが、そもそも否定し責めるものではないことに気づけるのです。
「思い通りの結果でなかった」「ミスがあった」「やりたい気分じゃなかった」というのと、
自分の素晴らしさや存在価値はリンクするものではありません。

ぜひ、自分を許して、「できないこと」と「自己否定」が別物だと気づいてみてください。
気持ちや世界の見え方が一変します。

また、自分を許すことに抵抗がある場合は、自己受容を習慣化する方法を参考にしてみてください。
自分を受け入れる(許す)ことについて、詳しくまとめてあります。

4.完璧を求めるということは

最後に、「完璧を求める」ということは自分のことをどう思っているのかについて触れます。

「完璧を求める」ということは「自分は完璧でない」ということを自覚しているということです。
完璧な人は完璧を求めたりしないのです。

だから、もし、あなたが「完璧にやりたい」「完璧な人になりたい」と思うのであれば、
あなたは「完璧ではない」と自分のことを思っているということです。

そして、その「完璧でない自分」をどうこうしようとするのではなく、「完璧でない自分」をただそのまま受け入れてください。

完璧なものにおもしろさはありません。

できないところがある、おっちょこちょいなところもある、冷たいところもある。
そんな歪な自分ですでに完璧なのです。
その歪さが「あなた」という存在を完璧に表現しています。

何かになるのではなく、自分という形を変えていくのではなく、「自分」という存在をただ生きていけばいいだけなのです。

5.まとめ

今回は、完璧主義でいる理由を見つけ、完璧主義を手放す方法を紹介しました。

何でも完璧を求めるとそれだけで苦しくなっていきます。
あなたは完璧でない部分を嫌っているかもしれませんが、
完璧でない部分こそが人を惹きつける魅力であり、ゆとりであり遊びです。

そんな大事な部分をぜひ自分の中から消さないでくださいね。

「完璧を目指す」という状態から少しずつ力を抜いて、安らぎ安心を得ていってもらえたらと思います。

「こうするべき」というルールについて記事にした
自分勝手なあいつにイライラする理由と心の平穏を得る方法も参考にしてみてください。