うつ病の仕組みと治し方

やる気も気力も全く出てこない。
起きることもままならず、布団から何年も出ていない。
とにかく辛くて、死にたい。

焦りが焦りを呼び、人生がただ辛いものになっているかもしれません。
こんなになってしまったことを恨んで、自分を責めて続けているかもしれません。
もしかしたら、何も考えられなくなっているかもしれません。

うつは本当に辛いことだと思います。

ここでは、うつの仕組みを解説し、その治し方について説明します。
うつになったという入口があれば、その出口も必ずあります。
うつになる理由と考え方を理解し、ゆっくり取り組んでみてください。

1.うつの仕組み

うつになるすべての始まりは、
「頑張らなければいけない」「ちゃんとしなきゃいけない」という気持ちです。

頑張らなければいけない、ちゃんとしていなければいけないという思いが、
頑張れない自分、成果を出せない自分、ちゃんとできない自分を責めます。
また、周りも自分を強く責めているように感じて、さらに苦しい思いをします。

すると、自分を責める状態が苦してくて、
もっと頑張ろう、もっと成果を出そう、もっとちゃんとしようという思いを駆り立てるのです。

この、「頑張らなければ」という思いが「頑張れない苦しさ」を生み、
この苦しさから逃避をするためにさらなる「頑張らなければ」を作るというスパイラルに入るのです。

そして、スパイラルの中で、「頑張らなければ」という思いと「頑張れない苦しさ」を強化していき、
もうこれ以上精神も肉体も壊れてしまうという一歩手前で脳はブレーカーを落とし、活動停止状態に入ります。

このブレーカーという安全装置が作動した状態を「うつ」というのです。

これがうつの仕組みであり、
うつになることは異常なのではなく、元々備わっている安全装置が正常に作動したということなのです。

2.なぜ「頑張らなければ」「ちゃんとしなきゃ」と思ったのか

次に、すべての始まりである「頑張らなければ」や「ちゃんとしなきゃ」という思いをなぜ持ったのかについて考えて行きます。

ここで、ひとつ質問です。
「あなたのお母さんは幸せそうでしたか?」

幸せそうだと思った場合は、下記4までさらっと読んでもらって構いません。
しかし、幸せそうじゃなかったという場合は、あなたの中に「罪悪感」や「無力感」「不足感」がある可能性があります。

  • 罪悪感
    母親を幸せにできなかったことを罪に感じて、頑張ることや自分を責めることで罪滅ぼしをしようとします。
  • 無力感・不足感
    母親を幸せにできない自分は欠けていると感じて、
    その欠けている部分を満たすことで母親に幸せになってもらい、母親に愛してもらおうとします。

3.「罪悪感」や「無力感」「不足感」をどうしたらいいのか

3-1.罪悪感について

母親が不幸そうに見えたことは実は勘違いなのです。
母親はあれでも幸せでした。

愚痴を言って辛そうにしていたかもしれませんが、あなたに愚痴を聞いてもらえてそれだけで良かったし、
辛いこともあったけど楽しいこともあったのです。

また、本来、人が他人を幸せにすることはできません。
幸せはその人自身が感じるものであり、解釈にすぎないからです。
だから、他人を幸せにすることはできないし、そのことに罪を感じることは見当違いなのです。

ぜひ、自分が感じていた罪は勘違いだったんだと気づいてください。
そして、自分を許してあげてください。

罪悪感について、人生を楽しむことができない心理的な理由に詳しく書いてあるので参考にしてください。

3-2.不足感について

母親を幸せにできなかったという思いについては上述の通りです。
あなたがどんな完璧な人間でも母親を幸せにすることはできないのです。

そして、不足しているあなたがあなたの完全な姿です。
そのいびつで完全な自分に何を足す必要もなく、そんな自分で元々愛され受け入れられていたのです。

また、あなたは自分に不足感を抱いているために、醜いところを嫌い、できない自分を捨ててきたかもしれません。
その今まで捨ててきたところが穴となって、あなたに満たされない気持ちを感じさせてきました。

醜いところやできないところは隠したり、克服するものではないのです。
それも自分の一部であると認め、受け入れるものなのです。
すると、不足していると感じていた自分で良かったのだということに気づきます。

不足感の満たし方については、「自己評価が低い」ダメな自分を認める方法を読んでみてください。

4.うつや自分との付き合い方

次に、うつや自分とどう付き合っていったらよいかについて説明します。

4-1.ちゃんとしない、迷惑をかける

上記「うつの仕組み」で説明した通り、うつは「頑張らねば」「ちゃんとしなきゃ」という思いから来ています。
治すにはその逆をやってみればいいのです

  • 頑張らない
  • サボる、怠ける
  • ちゃんとしない
  • もうできないと言う
  • 迷惑をかける

ということです。
今までそうしないように必死に頑張ってきたので、その逆をやることはとても怖いことなのではないでしょうか?

しかし、そこに答えがあります。
今まで「絶対にダメだ」と思っていたことをやってみることで、「それでも良かったのだ」ということがわかります。

頑張らず、サボり怠け、ちゃんとせず、迷惑をかけても、それでもあなたは受け入れられているし、周りから愛されています。
そんな自分を否定しているのはあなただけなのです
周りの人はあなたが考えている以上に優しいです。
人を信じず一人で頑張るのではなく、人を信じてちゃんとできずに手を借りてみてください。

また、もしかしたら、あなたは自分は頑張っていないと思うかもしれませんが、はっきり言って頑張りすぎています。
人には人の頑張れるキャパがあります。
頑張りは時間や成果で図るものではありません、あなたは自分のキャパをとっくに超えているのです。

4-2.責めない

どれだけ何もできない自分であっても、周りと同じようにできない自分であっても、頑張れない自分であっても、
そんな自分を責めないということです。

しかし、自分を責めてしまうこともあると思います。
そんな時は「責めてしまう自分も責めない」です。

あなたにどういうところがあっても、うつでも、何もできなくても、そこに罪はありません。
あるのは、罪だと感じる解釈があるだけです。

以下は自分や他人を責める時の思考パターンです。
事実→解釈→責める

何かの事実があり、その事実を悪いことだと解釈し、自分や相手を責めるのです。
この「解釈」の部分を今までと変えてみてください
何かの事実を良い悪いと裁くのではなく、事実がただあるだけと思ってみてください。

何もできない自分がいるだけ、周りと同じようにできない自分がいるだけ、頑張れない自分がいるだけ、ただそれだけのことです。
それを、良い悪いと解釈する必要はありません。

また、悪いと解釈をして自分を責めても、「悪いと裁き自分を責めている自分がいるだけ」だと傍観してください。
責める自分を無理に止めなくてもいいのです。

すると、自分にバツをつけ続けてきた癖が緩んできます。
「そんな自分でもいいかも」「ただそんな自分がいるだけ」と思えてくるのです。

4-3.人の批判はスルーする

もしかしたら、頑張れないことであなたを責めてきた人もいるかもしれません。
そんな声はスルーしてください。

そもそも、人はなぜ人を責めるのか説明します。
我々は成長過程で様々な「こうするべき」というルールを身につけます。

このルールを破っている人を見たとき、人は「恐怖」「羨望」のどちらかの感情を感じます。
恐怖というのは、「そんなことしたら怒られる!!怖い」という思いであり、
羨望は、「ルールを破っていいなぁー、自分も破りたい、羨ましい」という思いです。

頑張れないことを責める人は、
「頑張らないと怒られる、怖い」か「自分も頑張りたくない、羨ましい」という思いを感じているだけなのです。

だから、そんな思いをこの人は感じているんだなと思ってみてください。
「この人はこんな怒った顔して、怖いんだな、羨ましいんだな」と可愛がってあげてください。

4-4.うつを治そうとしない

どうしようもなく辛く感じているかもしれませんが、うつを治そうとしないでください。

治そうと躍起になればなるほど、自分とうつの症状を見張ります。
すると、症状が改善されない自分を責めだします。

うつは治すものではなく、気づいたら治っているものです。

一旦、うつであることを受け入れ、自分の中にあっても良いと思ってみてください。
うつは頑張りすぎなあなたが壊れないように制御をかけるブレーキであり安全装置です。
もう、それ以上頑張るなとあなたを止めてくれたのです。

4-5.元の環境に戻ろうとしない

うつを治して、元の環境に戻ろうとしないでください。

今までは「頑張る世界」にいたと思います。
そして、この世には「頑張らない世界」というもうひとつの世界が存在します。

一人で何とかする世界ではなく、人が助けてくれる世界です。
厳しい世界ではなく、優しい世界です。
我慢の世界ではなく、幸せの世界です。

そんな二つの世界があるとしたら、あなたはどちらがいいでしょうか?
なぜ、うつを治して今までの世界に戻ろうとするのでしょうか?
そんなところに戻らなくてもいいのです。

次の世界に進んでください。
進み方は簡単です。

自分が好きだと思うこと、
少しでも気持ちが動くこと、
これなら体を動かしてもいいかもと思うことだけやるということです。

どんな小さなことでも構いません。
テレビを見る、散歩をする、布団で寝る。
今、自分の気持ちが動くことに耳を澄ませてください。

次第にその輪が広がっていく、そんなイメージがいいかもしれません。
仕事に復帰するのではなく、好きなこと・気持ちが動くことを見つけていく
そして、それ以外のことは周りの人にお願いするのです。

自分の中の小さな声を聞いてあげてください。

また、今、その声が聞こえなくても構いません。
聞こえる時が必ず来ます。

4-6.自分を許す

自分を許してあげてください。
意識してか無意識か、今までは自分にムチを打ち続けてきたました。

そんな自分をもう許してあげてください。
可愛がってあげてください。
それがどんな不甲斐なく、情けない自分でも、うつになる自分でも。

周りはもうとっくにあなたのことを許しています。
小さな頃、叱られたり責められたりして、自分で「こうするべき」を作ったかもしれませんが、
小さな頃と今ではルールが違うのです。

こうあるべきという完璧なあなたを実は誰も望んでいません。
完璧でないあなたを誰も責めていません。
すべてあなたの頭の中で起こっていることです。

ぜひ、どんな自分でも自分のことを許してあげてください。

4-7.完璧じゃなくていい

完璧なものに魅力はありません。
中途半端でカッコ悪くて情けないあなただからいいのです。
中途半端でカッコ悪くて情けないから愛されるのです。

あなたにとって、いい加減が良い加減なのです。

完璧じゃない自分であることを諦めてください。
できもしない自分だし、頑張れない自分なんだといい加減諦めてください。

その諦めの先に道は広がっているし、その諦めの先にある道の方が幸せで面白く刺激的です。

5.まとめ

今回は、うつの仕組みとうつの治し方について説明しました。

うつは大変辛いことです。
しかし、うつになったから終わりではありません。
終わりのないトンネルなのではなく、トンネルの先に新しい世界が広がっています。

その新しい世界や考え方の転換方法をこのブログで説明しています。

ぜひ、この記事を読み返したり、他の記事に書いてあることを試してみてください。
カテゴリーの仕事を辞めたいストレス解消をオススメします。