見捨てられ不安の仕組みと崩れない安心感の広げ方

  • 2017年10月18日
  • 2020年5月17日
  • 自信
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自分の元から誰かがいなくなってしまうのではないか。
こんな自分だと愛想を尽かされてしまうのではないか。
そんなことを考えると不安で不安で、相手に気に入られる行動しか選べない。

今回のテーマは「見捨てられ不安」です。

基本的に不安を含めどんな感情でもまず感じることが大事なので、
見捨てられるかもしれないという不安もじっくり感じてみてください。

感情を感じることを避けると、楽しい・嬉しい感情も感じなくなったり、
避けた感情がさらに大きくなったり、と、感情に振り回されるので、
湧いてきたものはまずは自然に受け止めてみてください。

そして、この「見捨てられ不安」には不安な気持ちが湧いてくる仕組みがあり、
この仕組みを理解して、行動していくことで見捨てられ不安は消え、安心感が広がっていきます。
心のベースに安心感があると見える世界も感じ方も大きく変わってくるので楽しみにしていてくださいね。

今回の大きな方針は、「不安だから不安を感じないよう」にというものではなく、
その逆の「不安だからその先に突っ込む」というものです。

怖いその先に向かうことは勇気がいるのですが、
ぜひ、その勇気を出して「悪い夢を見ていた」ことに気づいてもらえたらと思います。

1.見捨てられ不安の仕組み

まず、見捨てられ不安の仕組みについて説明します。

見捨てられ不安の気持ちを持つようになったのは、
小さな頃に親に見捨てられるかも、という不安を味わったところから始まっているかもしれませんが、
その発端を明らかにしても見捨てられ不安の出口に近づくわけではないので、
ここではその発端や原因についての説明は割愛します。

もし、まだ小さい頃の出来事を思い出すと気持ちがジュクジュク疼くという場合は、
「自己評価が低い」ダメな自分を認める方法の3-1.満たされない思いを癒すを参考に、
過去の傷を癒してみてください。

それでは、本題の見捨てられ不安の仕組みに話を移します。
見捨てられ不安は、ただ単に不安の気持ちが湧き上がるのではなく、あるサイクルをグルグル回しています。

そのサイクルとは、

①見捨てられたくない気持ちから自分より他人を優先する
②自分が自分のそばにいなくなる
③自分がそばにいないから、自分の元に誰もいなくなるのが余計に怖くなる
※①に戻る

順に見ていきましょう。
まず、見捨てられたくない気持ちから誰かに嫌われないように角が立たないように行動します(①)。

それが、自分の気持ちや意思に反してまでは誰かを優先しないということであれば、
見捨てられ不安はそこまで大きくないと思いますが、
これが、自分の気持ちや意思に反していている場合、見捨てられ不安を感じる悪循環に入っていきます。

自分の気持ちに反して相手を優先するということは、
本来自分の味方である自分が、自分のことより相手のことを大事にしているという状態です。
つまり、自分が自分の元を離れ、相手に擦り寄っているということです(②)。

この状態で、誰かに嫌われてしまったり見捨てられたりすると、自分の近くには自分を含め誰もいなくなってしまいます。
だから、他人から嫌われることが余計に怖くなり(③)、
せめて誰かにいてほしいと考え、また誰かに嫌われない行動をします(①に戻る)。

2.自分のそばに自分さえいてあげたらいい

「自分が自分のそばにいない」というのが感覚的にわかりづらいかもしれませんが、
例えば、子どもの頃、家に自分とお母さんがいてお母さんが他人に気に入られようと
外に出かけている状態をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。

お母さんはきっと外に出て、家に誰かを呼ぼうとしているのでしょう。
しかし、子どもの自分にとっては、外から誰が来ようがどうでもよく、
お母さんに家にいてほしい、自分と一緒にいてほしいだけなのです。

この構造と同じで、見捨てられそうで他人を優先しているとき、
自分(お母さん)は自分(家の中の子ども)ではなく、他人に擦り寄って出かけてしまっているということです。

だから、単純に出かけている自分に帰ってきてもらう。
他人ではなく自分を可愛がる。
自分を優先する。

それだけで、自分のそばに少なくとも自分がいる状態になります。
これが、どれほど安心できてどれほど嬉しいことか。

そう、自分のそばに自分さえいてあげれば、
誰に見捨てられようが関係なく、満たされた気持ちで平和な世界が広がっていくのです。

家に何百人の他人がいてお母さんが外に出かけている状態より、
家にお母さんだけがいる状態の方が、嬉しいし安心するのです。
この「お母さん」というのが大人になった今、「自分」ということです。

自分が小さい頃の「親」は、紛れもなく両親です。
ですが、大きくなって自分であれこれ考えられるようになった今、
「親」というのは実は自分自身なのです。

ここは大事なので、覚えておいてください。
大きくなった今、「親」は自分に変わっているのです。

それを、小さな頃の感覚で、自分のそばにいてくれる両親や両親に代わる他人を追い求めていると、
上記で説明した自分が自分のそばにいない状態になるのです。

昔、お母さんに見捨てられて辛い思いをしたかもしれません。
もう二度とあんな思いをしたくないと感じたかもしれません。
誰かがいてくれる安心感をずっと求めてきたかもしれません。

しかし、それは自分の外側にはないのです。
「自分のそばに自分がいてあげる」ことさえすれば、
自分が求めているものはすべて埋まっていきます。

だから、他人に嫌われるかどうかよりも、
自分の気持ちや意思を優先してみてください。
嫌なことは嫌だと言い、相手に合わせず自分勝手に生きる。

それは、「本当の自分を取り戻す」ということでもあります。
他人に気に入られるために捨ててきた自分の一部を取り戻してみてください。

それだけで、「やっと自分がわかってくれた」「やっと自分が味方になってくれた」安堵感が広がっていきます。

3.「見捨てられる」に紐づく勘違いに気づく

ここまでが今回のテーマで核となる話です。
ここからは、自分を優先する・本当の自分を取り戻す上での代表的なブレーキを3つ紹介しながら、
そのブレーキを紐解いていきます。

3-1.見捨てられる自分には価値がない

他人からの評価が自分の価値と結びついている場合、他人からどう見られるかがこの上なく大事になってしまいます。
それは自分が感じる自分の価値は、命の次に大事なものだからです。

ただ、自分の価値は他人からの評価で上下するものではありません。
他人からよく思われなくても、自分の価値は下がらない。
逆に、他人からものすごく尊敬されても、自分の価値は上がらないのです。

では、自分の価値はどうやって決まるか。
それは、「自己採点」です。

自分の価値は5くらいだなと決めたら5だし、
100だなと感じたら100だし、1万だと思ったら1万です。

その根拠を他人からの評価に委ねることもできますが、
結局、他人の評価を通して、「自分が勝手に」決めているだけなのです。

根拠があった方が安心するかもしれませんが、
根拠を持つということは根拠に縛られるということです。
根拠がなくなれば自分の価値が下がったように感じて落ち込み、そうならないようにひたすら頑張る。

他人が何を根拠に自分の価値を計っているかわからないですよね。
パッと見てわからないということは、そんなものなくてもいいということです。

私は首長族のことはよく知りませんが、
例えば、首長族が首の長さで自分の価値を決めているとして、
首が長いから大きな顔をして、首が短いから価値がないと自己否定する。

傍から見ると少し滑稽ですよね。
首の長さなんてどうでもいいのではないか、と。
それと同じことです。

ひとそれぞれの根拠なんて、あってないようなものです。
ぜひ、根拠のない自分の価値を勝手に決めてしまってください。
根拠がないのは逆に無敵ですよね。

無理に自分にはすごい価値があるなんて思わなくていいので、
他人からどう見られるかと自分の価値とは全く関係ないのだということを覚えておいてください。

3-2.人の役に立てない自分はここにいてはいけない

人に何かできない自分はここにいてはいけないと感じると、
自分より他人を優先するしかなくなります。

しかし、これも上記の自分の価値と同じように、
ここにいていいのかいてはいけないのか、を他人に委ねなくてもいいです。
何もできない自分やよく思われない自分も、一つ一つ、ゆっくりと自分が可愛がってあげてください。

そもそも、私たちは何をしたって何をしなくたってそれでいいし、
自分が感じることや考えることは、本当にそのまんまでいいのです。

そんな全てが許されている状態から、
親の教え、世の中の常識、社会の「こうするべき」を身につけてきました。
そうして、そのルールに則れない自分を責めて否定して罰してきたのです。

要は、すべてが許されているのに、
勝手なルールを自分が採用して、自分を身勝手に責めて否定してひどい言葉をかけ続けているのです。

私もずっと自分のことを責めて、自分を変えて成長しようとしてきましたが、
それはずっと自分のことを否定して、ひどいことをしてきたのだと気づきました。
随分かわいそうなことをしてきたな、と。

それから、一つづつ自分を許していく作業を通して、
ものすごい生きやすくなったし、地に足を付けることができました。

自分の嫌いなところも変えてなくしてしまいたいところもあるかもしれませんが、
それを一つ一つ自分が許していくことで、自分の居場所が広がっていきます。
元々何をしなくてもここにいてよかったのだということが分かっていきます。

居場所については、居場所がないと感じる理由と本当の居場所を作る方法を参考にしてみてください。

3-3.自分を優先することは誰かを見捨てることになるのではないか

自分を優先することや自分の人生を歩き出すことが、
誰か、特に親を見捨てることにつながるのではないか、
という考えもブレーキになります。

これに関しては、ぜひ、他人や親を見捨ててみてください。

今まで、誰かを見捨てることはあなたにとっての絶対犯してはいけないタブーだったと思います。
それは、自分が見捨てられることにつながると感じるからです。

だから、他人を見捨ててはいけないと。
マザーテレサ的になっていたかもしれませんね。

しかし、「見捨てる」というと言い方は荒いですが、
親を見捨てるということは、要は自立するということです、親離れをするということです。

「親の言うこと」「誰かのため」「他人に優しく」
そうやって親のレールを走ってきた、しかし、今、そこから旅立って自分の人生を始めるわけです。

そして、見捨てている気持ちに自分がなるかもしれませんが、
それがちょうど良い距離感です。

自分がいなくても相手には相手の世界がある。
自分が見捨てても相手は大丈夫。
そして、自分が見捨てられても大丈夫。

それがわかった上で、個々に気持ちがよい距離感を取ったら良いのです。
だから、一度、親や他人を見捨てるつもりで自分の気持ちを優先してみてください。

4.まとめ

以上が、見捨てられ不安の仕組みとその悪循環から抜け出す方法です。

他人に見捨てられることが不安なのじゃないのです。
今、自分に見捨てられているから不安なのです。

だから、外に出かけてしまっている自分を見つけて捕まえる。
それだけです。
他人が関係あるようで、実は他人は一切関係ありません。

という話を理解した上で、それを腑に落とすために、
ぜひ、自分を優先するということをやってみてください。
他人に好かれるために切り捨ててきた本当の自分を取り戻してみてください。

そこに、あなたが心の底からずっと求めていた安心感があります。
やってみるときはとても勇気がいることですが、
その勇気を頑張って出してみてくださいね。

また、嫌われたくない気持ちについてまとめた
嫌われたくないなら嫌われる勇気を持つも参考にしてみてください。