人から否定されたとき、誰かに嫌われたとき、何かがうまくいかないとき、
「私の何がいけないの?」と疑問に思うかもしれません。
気に障れることを言ったのか、私の考え方が悪いのか、と。
自分の何がいけないのかという”質問”を投げかけると、自分のここが悪かったかもしれない”答え”が返ってきます。
しかし、その答えに従って自分を変えても人から否定されることがなくなったり問題が解決したりすることはないのではないでしょうか?
何か嫌なことが起きて「私の何が悪いの?」と感じる時、悪いのはただ一つ。
その「私の何が悪いのか」という”質問”が悪いです。
悪いというか見当違い。
そもそも嫌なことが起こったからといって自分が悪いわけではありません。
しかし、「私の何がいけないの?」という質問を投げかけると、自分のいけないと感じるような答えがたくさん返ってきます。
自分の悪いところ探しをして悪いところを改善しても状況や取り巻く環境は変わらないんですよね。
この記事では、自分の悪いところ探しをやめて、苦しい状況から抜け出す方法を紹介していきます。
1.私の何がいけないの?という質問がイケてない
冒頭でも少し触れましたが、自分の何がいけなかったか?何が悪かったか?と考える時、その質問自体がイマイチです。
見当違いの質問であり、自分を混乱に巻き込む質問です。
それは、元々悪くないものを悪いという前提にたった上でその解決策を探しているからです。
今日、雨だったのは空の何がいけないのだろう。空はどんな悪さをしたのだろう。
という質問をしているということです。
そして、どんな見当違いな質問であっても質問を投げかけると必ず答えが返ってきます。
自分のどこがいけないのかという質問をすることで、自分は何も悪くなくないのに悪いだろうところが見つかります。
見つかるというか、無理やり作りあげるという感覚に近いです。
あの一言が悪かった、相手の期待に応えなかったのが悪かった、これができないからいけなかった。
そうやって、悪くもない言動を制限し、自分の本来の性格を歪め、隙のない何でもできる人を目指すのです。
それが苦しいし、楽に幸せに生きるというゴールには一切繋がっていない試行錯誤をしているというわけです。
2.”それ”が起きたのはたまたま
では、自分は悪くないのになぜ他人から否定されたり嫌われたりしたのでしょうか。
それは「たまたま」です。
たまたま相手の虫の居所が悪かったり、たまたま相手の「こうするべき」というルールに違反していたり、たまたまあなたを羨ましいと思って嫉妬して嫌ったりしただけです。
人は何にでも原因を見つけようとします。
これは人の本能なのですが、原因を見つけたいという欲求が過度に強いのです。
この出来事が起きたのはなぜだったのか。
その理由が合理的で確実なものでなかくても、原因をとりあえず見つけることで安心します。
だから、自分に嫌な出来事が起きた時も過度に原因を見つけようとして、適当な理由を探し出します。
しかし、見つけた原因は何の根拠もなくただそう感じたというだけのものです。
その根拠もない適当な原因を元にして嫌なことが起きないように行動し始めるからさらに混乱していきます。
自分に起きることは「たまたま」です。
「自分が悪い」ことを決めつけ、全ての原因を自分に求めるから苦しくなります。
生きていたら嬉しいことも起こるし、嫌なことも起こります。
その嬉しいことも嫌なこともそのまま体験するのが生きるということです。
嫌なことが起きた時に原因を自分に求め、改善しようと躍起になったり改善しきれなくて苦しんだりするのは、
ただの嫌な出来事に尾ひれはひれをつけて自分を余計に苦しめているだけに過ぎないのです。
3.実は昔からやっていた悪いところ探し
そして、これは今目の前で起きた出来事についてだけ、原因を探しと改善を繰り返しているわけではありません。
昔、親に否定された時、学校でいじめられた時、受験に失敗した時などあらゆる場面で、自分に原因を探し自分のダメなところを見つけています。
- 親に否定されたのは、自分のわがままな性格がいけないんだ
- 学校でいじめられたのは、自分の思っていることをはっきり言ってしまう性格が原因なんだ
- 受験に失敗したのは、自分の要領が悪かったからだ
と、自分に勝手なレッテルを貼り、それ以降はそのレッテルから外れない人物として生きるようになります。
これは、人の本能の二つ目、過度に一貫性を保とうとする性質の仕業です。
わざわざわがままを許さない人をパートナーに選びわがままを指摘されようとしたり、忖度することが美徳だという環境に身を置き周りに馴染めない自分を責めたり、何か失敗した時に自分の要領の悪さに原因を求めたりします。
こうやって、昔からずっと自分に原因を求め、そして、そういう人として生き、もしかしたらそんな自分を改善しなければと今も思っているかもしれません。
この自分の性格を悪者にすること、そこに劣等感を抱くこと、改善して違う人物になろうとすることは、苦しい気持ちをどんどん膨らませる行為です。
ですので、自分の悪いところ探しをやめて改善を手放してしまえば、この世界をより軽やかにより楽しく生きていくことができます。
4.自分の悪いところ探しをやめる
では、どうしたら自分の悪いところ探しとその改善を手放せるのか、その方法を説明します。
4-1.自分はそのままで良いことを頭で知っておく
まず、自分は昔からそのままの自分で良かったことを頭で知っておいてください。
親に否定されたり、いじめにあったり、目指していたことがうまくいかなかったりしたとき、親や友達は「お前のここが悪い」と言ったかもしれません。
自分のやっていることがうまくいかなかったとき、社会はこういう特徴の人はうまくいかないとダメなところを示すかのようにあなたにレッテルを貼ってきたかもしれません。
しかし、その自分の性格や言動が悪いわけではありません。
人は誰しも自分の中に自分だけのマイルールを持っています。
その自分の良しと思っているルールから外れる人に心がざわつき、自分のルールの枠に相手を収めることで安心しようとするのです。
しかし、そのルールはその人独自のものでそのルールに従わなければならないということではありません。
人それぞれの偏ったマイルールを真に受けて自分のどこが悪かったのか、どう変えて行くべきなのかを考える必要はないのです。
言い換えるとマイルールとは、「一日30回腕立て伏せをしなければならない」みたいなもので、他人の腕立てのルールを聞いて腕立てをしていない自分を責めて腕立てをしなければという衝動に駆られるみたいな感じです。
別に腕立てをしたい人が腕立てをすればよく、他人のマイルールを勝手に自分に課さなくていいということです。
そのルールが多ければ多い程自分は苦しくなるし、他人のおかしなマイルールに従う必要はないのです。
わがままはいけない、人のことを考えなければいけない、できないことはできるようにしなければいけない、一見真っ当そうに見えるルールでさえ、腕立てしなければいけないというルールと一緒です。
それをしない自分が悪いわけでも、そんな性格の自分がダメなわけでもありません。
元々、自分はそれでよく、最初から何も変える必要がなかったと頭で理解しておいてください。
そして、自分の悪いところ探しをしそうになった時、「自分の何がいけないの?」と感じた時、自分に悪いところはなくそのままでいいということを思い出してくださいね。
4-2.自分のダメなところを許す
「自分の何がいけないの?」という質問をして出てくる答えは決まって、自分が元々気にしているところです。
自分は物事を継続できないところがダメだと元々自分にダメだししている状態で、他人から嫌われたという出来事が起きた時に自分が物事を継続できない甘えた性格のせいで嫌われたのかなと感じます。
要は、自分の悪いところ探しとは新たに自分のダメなところ見つけるというよりも、元々ダメだと思っているところを意識的に把握したということです。
この自分に対するダメ出しをやめることによって、悪いところ探し自体をしなくなります。
そして、自分に対するダメ出しをやめるには、自分を許すということです。
前述の通り、元々、自分は何も悪くないのですが、何かが悪いと思い込んでいます。
その悪いと思い込んでいるところに一つ一つ自分に許可を出していくのです。
- わがままでもいい
- 思ったことを口にしていい
- やろうと思ったことを継続させないでいい
そうやって、一つ一つ自分を許してあげていってください。
また、自分を許す強烈な方法は実際にやってみるということです。
もし、わがままがダメだと感じていたらわがままをあえて出していきます。
そうやって、実際にやってみることによって、自分自身に対して圧倒的な許可になっていくのです。
そして、自分を許せた瞬間に自分の悪いところ探しをしなくてすむようになります。
自分に悪いところなんてない、自分は自分で良かったことが腑に落ちたら自分の悪いところを探すという発想が出てこなくなるのです。
5.「私はどうしたいの?」に質問を変える
「私の何がいけないの?」と自分の悪いところ探しをやめる話は以上です。
元々、何も悪くないので自分の悪いところを探しを辞めていく意味で、「自分は自分のままでよい」ことを頭に置きながら、自分へダメ出しを一つ一つ許して行ってください。
そして、「私の何がいけないの?」という質問は自分を苦しく窮屈にする質問なので、「私の何がいけないの?」という疑問が頭をもたげてきた時は質問を変えてみてください。
どういう質問に変えるかというと、「私はどうしたいの?」という質問です。
相手に嫌われたとき「私はどうしたいの?」という質問を投げてみる。
すると、嫌ってくる人とは一緒にいたくないという答えが返ってくるかもしれない。
その返ってきた答え通りに動いてみてください。
別に、自分の何が悪いわけではなく、起こる出来事は全部たまたまです。
そして、自分はいつのときも「どうしたいのか?」を考えて、心の赴く方に動いて自分を楽しませていくだけでいいのです。
それが、単純に楽しいし、この世界を楽しんでうまく回すための最大の秘訣です。
6.まとめ
今回は、「私の何がいけないの?」と感じる時に、自分を楽に幸せにするためにどう舵取りをしていったらよいかについて説明しました。
「私の何がいけないの?」という質問はただ自分を混乱させ自分を苦しくするだけなので、質問を「私はどうしたいの?」に変えてみてください。
自分が悪い前提で世の中を見ると、自分の悪いところばかり見つかるし、その悪いところがなくならないと幸せになれないような気がしてきます。
しかし、実際、自分の悪いところ探し自体が自分を幸せから遠ざけています。
自分が悪いという前提から誤っているし、直すべきところはありません。
その上でいいことも起こるし嫌なことも起こる。
ただただ、その出来事を味わっていくだけなんですよね。
その嫌な出来事から自分のダメなところを見つけ、悪いところを直そうとするから人生がこんがらがっていきます。
自分の悪いところ探しと改善をやめることによって、今まで感じたことのない解放感と自分は自分で良かった充実感に満たされます。
ぜひ、そのままの自分で人生の様々な出来事を味わってくださいね。
もし、自分が悪いという感覚がとても強い場合は、大きな罪悪感を抱えているのかもしれません。
罪悪感と聞いてピンと来た方は、幸せへの足かせとなる罪悪感の外し方を参考にしてみてください。